母は専業主婦でした。私が小学生で外でどろんこになって遊んでいる間,母は公民館などで開催している習い事をよくやっていました。紙粘土の人形作り、刺繍、生花、などなど、主に何かを作っていました。
私は母の刺繍作品にいつも見とれていました。子供心に(普通の刺繍より素敵だ)と思っていました。母の刺繍はベタっとしたファンシーな可愛さではなく、少しキリッとした大人っぽい感じがあり、そこが気に入ってました。
生花は、教室で習ったものを家で活けて玄関に飾っていました。わたしはそれも大好きでした。私には母の生花は古臭さがなく、どこかクールでセンス良く見えました。
ある時「生花は楽しいけどお金がかかるから続けられない。もうやめるわ」と母に言われた時、必死で止めました。「お母さんは生花の才能があるからやめない方がいい」と一生懸命説得しました。しかし、母はあっさりとやめてしまいました。(なんてもったいないことを)と残念に思ったことをよく覚えています。
母の話によると、母方の親戚には物作りに秀でた人が多かったようです。
私は母方からの遺伝のおかげで、美術の道を進むことができました。